第3話 79年大阪公演初日:
「Just fourth night」(2CDR/SDR) vs 「Legendary Osaka 1979」(2CDR/Masterport) 大阪厚生年金会館 11/27/1979
![](fig/legendaryosaka1979.jpg)
Just fourth night Legendary Osaka 1979
「Legendary Osaka 1979」の収録内容
Disc 1
1. Tulsa time/ 2. Early in the morning/ 3. Lay down Sally/ 4. Wonderful tonight/
5. If I don’t be there by morning/ 6. Worried life blues/ 7. Country boy/ 8. All our past times
Disc 2
1. Blues power/ 2. Double trouble/ 3. Knockin’ on heaven’s door/ 4. Setting me up/
5. Rambling on my mind/ Have you ever loved a woman/ 6. Cocaine/ 7. Layla/
8. Further on up the road
猫:ねえ、「Just fourth night」(以下SDR盤)と「Legendary Osaka 1979」(以下MP盤)が、
同ソースって知ってた?
熊:え〜、 ホントですか!? 私はてっきり別ソースだと思ってましたが。
巷じゃ別ソースっていわれてますよね。
猫:いやいや、僕もそう思い込んでいたんだけど、実は同ソースなんだよね。聴き比べたらすぐ分かりますよ。
ほら、開演前の観客の声。SDR盤の1曲め、0:18のところで右にいる女の子がECを見て
「ヒゲ、生えてるやん」といってるけど(笑)、MP盤でも0:21でまったく同じ声がはいってるでしょ。
熊:あ〜、ホントだ。まったく同じですね。な〜んだ。音質はどっちがいいんでしょうか?
猫:両者ともなかなか良好なステレオ・オーディエンスで、音質も似てます。SDR盤の方が高音がきつめで、
一聴するとシャープだけど、チリチリしたノイズがかすかに聞こえたり低音が割れたりしてるところがあるから、
総合的には同レベルでしょうね。
熊:確かにこれは、Silver Horseの名盤「Just another night」に迫る音質ですね。
さて収録内容ですが、Beatleg誌7号(EC来日記念号)p22の「Just fourth night」のレヴューに
以下の記述があります。
「・・Laylaのみ途中に別マスターをつぎはぎしたような、音質とバランスが変わり不安定になる部分がある。」
MP盤は「Blues Power」と「Layla」にカットが入るのですよね。「Layla」のカットはたしか3番の途中から
ギターソロに飛んでしまうようなカットだったと思いますが、となるとSDR盤はその部分を別ソースで
補っているという編集なのでしょうか?
猫:お、するどいね。ちょっと確認してみましょうか。まず「Layla」ですが、MP盤では3番終了後、
レイラ〜というリフレインの途中(3:23)にカットがあってギターソロまで飛んでます。
一方SDR盤は3番の途中(2:53)で別ソースに変わり、ギターソロに入ってすぐのところ(3:41)
で元のソースに戻っています。つまりSDR盤はカット部を別ソースで補っていて、
「Layla」の3番後半部分はMP盤とSDR盤ではソースが異なるわけ。
ちなみにこの別ソース部分も結構高音質ですが、繋ぎは雑だなあ。
熊:この別ソースって、同日のものなんですか?
猫:それが問題なんだよね。ソースが違う3番の後半をMP盤とSDR盤とで聴き比べてみると・・・。
熊:あ〜、歌い方が微妙に違いますね。こりゃ別の日ですね。でもこの雰囲気は同じ日本公演っぽいですね。
猫:そのとおり。79年日本公演は音がいいソースが多いから、そのなかから持ってきてるんですよ。
一体どの日だと思う?
熊:ま、まさかオフィシャルとかっ??
猫:オフィシャルには「Layla」は入ってないんだってば(笑)。
熊:ちょっとボケてみただけです。ギターソロの出だしを比べれば判るんですが、
12月3日といわれてる「Just another night」の音源かな?・・・いや、違いますね。
じゃあ「On tour 1979」ボックスかな・・・、あ、これだ!これですね!
猫:そうで〜す、正解は12月1日の大阪府立体育館公演でした!
熊:う〜む。同じ大阪公演を使うというのは多少配慮してるんでしょうか。
猫:同じ大阪ならいいというわけでもないんだけどね。会場も違うし・・(苦笑)。
あと、SDR盤は「Blues Power」のカット部も非常に面白いんですよ。
熊:え、「Blues Power」も別の日で補ってるんですか?
猫:まあ、ちょっと聴いてみて。
熊:おお〜これは・・。MP盤ではヴォーカルが始まってすぐの0:46でカットがあって、
1番のあとのピアノソロから復活しますが、SDR盤ではこのピアノソロを丸ごとカットして、
イントロから2番の頭に直接つながるように編集してますね。この編集は上手いですね。
猫:そう、ちょっと油断してると、あたかもカットがないように聞こえるでしょ?
でもね、それだけじゃないんだよね。ほら、「Blues Power」のイントロの0:14のところ、編集があるでしょ。
熊:あれ、そうですね。この0:14からヴォーカルが始まる0:30までの部分はMP盤と演奏が違いますね。
これはどの日から持ってきてるんですか??
猫:これはね、調査の結果、「On tour 1979」収録の11月26日京都公演と判明しました。
熊:え〜、京都公演も使ってるんですか!?ややこしいなあ。まとめていうと、0:14から0:30までが京都、
その後歌の1番をまるまるカットして、0:30から11月27日大阪の2番の頭に戻るわけですね。
それにしても、このイントロ部分はもとのMP盤のソースでカットがないのに、
何故わざわざ京都公演を持ってきてるんですか?
猫:それが全然理由が判らない。まったく意味のない編集だもんねえ(笑)。
あえて推測すると、SDRが持っていたテープではこの部分に何か問題があって、
それを京都の音源で補修したのかも知れませんね。
熊:釈然としませんね。いずれにしてもSDR盤は、意図はどうあれいろいろと編集があって侮れませんねえ。
猫:侮れませんよ、これは。
熊:でも「Blues Power」にしろ「Layla」にしろ、これらの編集によって、実際のカット部分は増えたわけだから、
はっきりいって余計な編集という気もしますね。
猫:あははは、それをいうと身も蓋もないんだけど、まあBOOT POISONING誌なら間違いなく
ボロカスに叩かれるでしょう(笑)。
別の日をもってくるのはやっぱり邪道だよね。
熊:最後になりましたが演奏に関してはどうですか?
猫:74年程ではないにしても、79年も出来の酷い日があるんだけど、この日はいいと思いますよ。
「Blues Power」は熱演だし、「Layla」のワウワウを使った哀愁あふれるソロもなかなかいいです。
「Cocaine」の出だしのドジも笑えます。
いったい何という曲が始まったのか会場の誰にも判らなかったでしょう(笑)。
音質・収録・演奏ともに「Just another night」に匹敵する優良ブートと思いますね。
熊:SDR盤とMP盤を比較すると、編集のないMP盤に軍配が上がるでしょうね。
猫:そうですね。でもまあ、ちょっとでも聴きやすくしようとしたSDRのブート製作者の努力は認めたいと思います。
これからもがんばってね〜。
熊:ところでSDRってまだ活動しているんでしょうか?
猫:なんか一発で終わっちゃったみたいだけど(笑)。(第3話おわり)