熊と猫のECブート放談

第4話 「Wonderful Spectrum」(2CD/Right stuff) Philadelphia 4/29/1985




(順にSlip Case表裏、中のジャケ)

猫:今回はトホホ・ブートについて語りたいと思います(苦笑)。
  さて、期待の新レーベルRight stuffの第2弾、「Wonderful  Spectrum」にはずい分がっかりしたんだって?

熊:そうなんですよ、くくくぅ〜。

猫:その前にまず確認ですが、マトリックスとしてはこちらがRight stuffの第1弾みたいですね。

熊:そうです。でも、リリースされたのは「Backless Frankfurt」の方が早かったんで、
  事実上「Backless Frankfurt」が第1弾、この「Wonderful  Spectrum」が第2弾ということになります。
  で、インフォによると「Wonderful  Spectrum」は「85年全米ツア−より、4月29日
  フィラデルフィア、スペクトラム公演を高音質サウンドボ−ド音源で収録」となっていたので、
  何の迷いもなく即買いしたのです。

猫:「Backless Frankfurt」が良かったんで期待したんだよね。

熊:そうそう。それでまずちらっと聴いてみると、音質は完璧なステレオSBで、
  流出SBに有りがちな「歓声がオフ気味で臨場感に欠ける」というものではなく、
  歓声もしっかり入っていてどちらかと言うと放送音源的な質感だったんです。

猫:あ、じゃあ音はかなり良かったんだ。

熊:スリップケースの写真のセットリストを見ていただけば分かるように、
  残念な事に完全収録ではないのですよ。

猫:それは残念。でもまあ音がいいなら・・。

熊:そうなんです。流出音源ぽい質感ならともかく、放送音源的な質感ですから、
  不完全でも「おお〜これは凄い」と思ったのですが・・。

猫:うんうん。

熊:でね、同じ放送音源の(TSPやBell bottomレーベルでお馴染みの)
  4/22/1985 Richmond公演と比べようと思って「Wonderful tonight」(TSP)
  を引っ張り出して聴いてみたのですよ。



猫:いやな予感がしてきたね(笑)。

熊:そしたら、が〜〜〜ん、なな、ぬぁ〜んとこれが全く同じ演奏だったのです(泣)。

猫:あっちゃ〜・・・・・・・・(か、買わないでよかった汗)。

熊:というわけで、結論をいいますとこれは4/22/1985 Richmond公演です(トホホ....)。
  あと気づいた点は、
  @.「Eric Clapton, recorded live in concert!」というDJのMCがFurther on up the roadの
    エンディングに入っている
  A.「Tulsa time」と「Tangled in love」の繋ぎは巧妙な編集で違和感無く繋がっている
    (実際にはこの間に「Motherless children」「I shot the sheriff」「Same old blues」「Blues power」
    の4曲が演奏されている)。しかし、その他の部分では雑な編集も多々あり。
  B.針音のようなノイズが入る部分が一箇所だけある

  以上の事から考えるに、このブートの元はラジオショーディスクそのものか、
  実際に放送された時のエアチェック音源で、「Tulsa time」と「Tangled in love」
  の編集は放送用にプロがしたもの、その他のいくつかの曲間カットはラジオショーディスクの面の変わり目、
  またはCMを省いた為の編集じゃないかと私は推測しました。ちなみに私はラジオショーディスク、
  又はこの音源が今までどういう風に放送されていたのかは全く知りませんので、
  ご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えていただきたいです。

猫:TSPに使われているマスターが、現在のところこの音源の最長版ですよね。
  この「Wonderful  Spectrum」のマスターは、どこかの放送局がそれを編集して
  放送したテープまたはエアチェックなんでしょうが、針音が聞こえるということは、
  この編集でのラジオショーディスクが存在するのかな?

熊:あと「EC Bootography」で確認したのですが、これと同じようなブートって
  やはり過去にも発売されているみたいですね。

猫:なるほど、「Tulsa time」から「Tangled in love」に繋がるパターンのやつね。
  知らなかったなあ。でもマーク・ロバーティーの「Recording sessions」の166ページを読むと、
  ラジオ放送されたセットは
  Tulsa Time/ Motherless/ Sheriff/ Blues power/ Tangled/ Behind the sun/
   Wonderful/ She's waiting/ Sally/ Badge/ Let it rain/ Layla/ Forever/
   Further on・・・・・・となっていて、このブートのセットと微妙に違うんだよね。
  このブートに収録されていない「Motherless」が放送されているし、
  逆に収録されている「Same old blues」は放送されていません。
  ということは、いくつかの違うパターンで放送されたのかも。
  まあ、それにしてもRichmond公演とはRight stuffも大チョンボでしたね(苦笑)。

熊:定番中の定番ですからねえ。仮に「Philadelphia公演では無く、Richmond公演を収録したブート」
  と考えても上記の通り全曲収録では無いですので、
  このブートには何の価値も見出せないのですよね(苦笑)。
  第一弾の「Backless Frankfurt 1978」が好盤だったので、
  これにはホントがっかりさせられてしまいました....。

猫:ブート・メーカーの基本はリサーチ力ですからね。その音源が本当に新音源なのか、
  新音源じゃなくても既発より音質や収録内容がアップしてるのか、きっちり調べてくれないと・・。

熊:うんうん。ところでRight stuffの第3弾「She loves you」(7/19/1985 L.A.)って気になりません?

猫:まさかChicago公演なんてこと、ないよね(爆)。 (第4話おわり)